水平線上の消失点の考察

Twitter上にて、

建物の作る消失点が、水平線上にはなくて少しズレる

という話題がありました。 カメラの仰角や、建物の水平垂直、レンズの歪み…等々
正直、個人的には「写真からは消失線を(厳密には)取れない」と思っています。

写真トレス(特に街風景)をした事ある人にはわかると思いますが、消失点は1点に収束せず誤差が出ます。(そこからあえて1点を選んでトレスに利用します)
これは最近のカメラのレンズが、複数枚のレンズが組み合わされかなり複雑な補正がされている為、画角の中央部と周辺部でもそれぞれ歪みが補正されていたり、安いレンズでは逆に補正されずに糸巻き変形・樽型変形などを起こしている。
超広角レンズと魚眼レンズとの違い。その他色々…

撮影してみるとわかりますが、水平線の位置がカメラの中心から少しでも上下にズレると直線が歪んでしまいます。
そもそもカメラを完全に水平にして、歪みない水平を撮って各種比較するのはなかなか手間がかかる…ということで3DCGにてどんな感じか試してみたくなりました

それがこちら。(画像クリックで大きな画像)

画面左が平面。右が直径1000kmの球体(地球の直径が直径12756kmなので約1/12)
人間と建物は0m,50m,100m…以降100mずつ10体配置
人間の身長は170cm
建物(箱)は2*2*10m
カメラの高さは地上から約1.1m 焦点距離35mm
※中央ラインは手前黄色が50m,奥の黒部分が50mの計100mの目安

見るとたしかに左の方の消失点が、右の球体の(見かけ上の)水平線の上にきます。…ある意味当たり前ですが。
もちろんこの球体は地球の1/12で、直径が大きくなればなるほど左の水平面に近づきます
この差を…絵を描く際に考慮するかどうかは結構「好み」でしかないのかなぁと自分は思いました。
これくらいのズレなら、地表の平坦度やカメラ&建物の水平・垂直ゆがみで簡単にかき消されてしまうものでしょうから。
皆さまの参考になりましたら幸いです。

最後に正面からの絵ではスケール感がわかりにくいので、全体がわかるものを何枚か…。
ほんと見えているのはごく一部でしかないのが分かっていただけるかと思います。

カメラから人&箱の並び。 床のマスはあくまで目安でサイズは決めていません(スミマセン)

上の写真の床のマスを比較してもらうと、この時点でもう人間は判別つきませんね。

そして左の平面も大きな球体(直径1000km)に比べる極狭い範囲でしかないと…。

真横から見るとこんな感じ。かなり曲面からずれていってるように見えますが、そもそも地上ではこんな差が認識出来るほど視認は出来ません

よく言われている事ですが、だいたい身長170cmくらいの人が見ている水平線は約4kmちょっと先くらいの部分です。 案外近いですよね。

言い換えれば10km四方まっ平らな平原の中心点にたつと、360度地平線になる~ということですね。(山や高地がないことが前提)

これで1/12。地球はほんと大きいですね…。

しまった…当初は右の球体に立っている人と箱は重力の方向~(地球の中心点)に向かって立たせようと思っていたのですがすっかり忘れてました…。
詰めの甘さということでご容赦の程を。